プロフィ−ル

現代における日本刀のすすめ

作品集
太刀(其の壱〜其の四)
小太刀(其の壱、其の弐)

刀(其の壱〜其の十)
刀(其の十一〜其の二十)
刀(其の二十一〜其の二十三)
鎬造脇指
平脇指(其の壱〜其の四)
短刀(其の壱〜其の十)
短刀(其の十一〜其の二十)
短刀(其の二十一〜其の二十七)
懐刀(其の壱〜其の十一)
小刀(其の壱〜其の八)

刀鍛冶道具図鑑

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変わる努力 変わらない勇気
       刀鍛冶副材図鑑

藁灰
  効能は炭素の補充、接着効果、表面
保護、保温効果、スラグの排出効果
があります。

火造り終了後、焼きなましの工程に
て使用される。刀身を均一に600℃
程度に加熱し藁灰の中に入れてゆっ
くり温度を下げることにより刀身が
柔らかくなり、セン鋤作業やヤスリ
作業が行いやすくなる。焼入れの土
を塗る際、刀身の油分をしっかり除
去しないと焼入れの最中に土が剥が
れる原因となる。そこで刀身の油分
を取る為、土置きする前に藁灰を湿
らしたものを刀身に塗ってこすると
油分が除去される。これを灰こすり
と呼んでいる。

以上が藁灰の使用方法であり私の場
合一年間に藁にして二畝分ぐらい使
用する。




泥汁
   鍛錬の際、鋼にかけて使用する。効能
は泥汁を鋼にかけることにより熱を鋼
の内部まで行き渡らせることができ、
スラグの排出と折り返しの鍛着をすべ
て良好にさせる働きがある。
適度な耐火性が必要であるが、あまり
耐火性が高すぎると石気となって刀に
残留する場合があるので注意が必要で
ある。
この泥汁、地元滋賀の鈴鹿山麓の粘土
を使用しており、炉壁の土にも使用し
ています。適度の粘着と耐火性で大変
良好である。





焼き入れ用粘土及び砥の粉
          (粘土)          (砥の粉) 
焼入れの際、刃を形成する為に使用する。
粘土と砥の粉半々に水を混ぜながら練り合わせ、刃の部分は薄く、地の部分
は厚く塗り、刃の部分だけ急冷速度を速めて鋼を硬化させる。

火床に炭をくべ、刀を全体的に加熱する為、前後に動かしながら加熱してい
く。その際途中で土が剥れ落ちないようある程度の粘着性が必要となる。

この粘土は地元滋賀、草津の丘陵地域の物を使用しており、上記に示した泥
汁にくらべれば耐火性や粘着性は若干低く、それが刀全体の沸付きや働きを
良くしてくれていると感じている。
 




卸鋼
 卸鋼  卸鋼は副材ではなく主材となりますが
ここでご説明いたします。
卸鋼はわれわれ小鍛冶が炉の中で溶か
して作る鋼であり、この卸鋼の違いに
よって各刀匠の特徴の違いと言っても
過言ではないというぐらい重要な工程
であり物である。高炭素の鋼するか、
低炭素の鋼にするかは各刀匠の好みが
あり、その塩梅は、送風の強弱、炉底
の深さ、炭の大きさ、炉の湿気具合、
気候などで決まる


〈令和四年七月追記〉
独立当初、折り返し鍛錬や焼入れなどを行う火床で卸鋼の制作を行っていま
したが 、それだけでは大きさや厚みに限界がある為、不安定要素を含んだ
卸鋼となってしまっているのではと考察致しました。そのような不安定要素
を解決しようと十年程前から卸鋼専用の炉を制作して稼働しています。この
専用炉を使うと火床で行う卸鋼の約三倍の重量の物が一回で出来ます。特に
厚みが増すことが大きなメリットであり、鍛錬の際に崩れにくく欠点の出に
くい卸鋼になりました。現在は火床で造った卸鋼と併用しております。
   




火床土
  刀鍛冶の火を扱う炉のことを火床(ほ
ど)と呼び、火床の素材は粘土と藁で
形成されております。この粘土は地元
の「野路小野山製鉄遺跡」付近の粘土を
使用しています。独立当初、市販され
ている耐火性の高い材料を使用したの
ですが、刀として仕上がった鉄色が思
った様にいかず、どうしたものかと思
案していた所、たたら製鉄の鋼は、土
を食いながら成長していくということ
を思い出し、地元の土に変えた所、鉄
色も良くなりました。一つの難点とし
て粘土の融点が低いので頻繁に火床の
塗り替えを行わなくてはいけないので
 すが、やはりいい刀を作るためには労力を惜しんではいけません。



   (令和二年八月追記)
草津の地は琵琶湖を一番低地として
東側に土地が高くなっていくのです
が、それぞれの標高で粘土の特徴が
あり、大変奥が深いものであります
。今は作業内容によって標高の違い
のある三種類の粘土を使い分け又は
配合し使用しております。


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